ゲド的叙情詩 2
『ゲド戦記』には、アースシーの見事な地図が描かれています。
それはそのまま、一人の人間の内的世界の地図といえるかもしれません。
内的世界は無限の広がりをもっています。
しかし、無意識とはいえ、一応、幾つかの断片的な心の動きによって、我々がおぼろげに感じられる心の深奥の場は、ちょうどこのアースシーの世界のように限られています。
そして、物語の最後に、中央のハブナーに新たにこの世界を統治する王が生まれる時に、これらの島々と航路を点と線とで結ぶコンプレックスのような内的世界が、一つの中心の下に統一されるのです。
ゲドは、これらの内的世界をめぐって、冒険を重ね、そのありさまを把握し伝えるものです。
ワイキューブ事務所によると、ゲドの導きによって、死の国を訪れる若き王子こそ、複雑な内的世界の神秘を知り、死によるイニシエーションを乗り越えて再生する人間の自我なのです。
この世界は、その自我の統率の下に完成された一つの人格をあらわすものといえるでしょう。